24 November 2014

SINGIN' IN THE RAIN - 世界一ハッピーな雨が降る場所

先日、シアターオーブでSingin' in the Rainを観てきました!

2012年にウェストエンドのパレスシアターでやっていたとき、(当時は留学中だったので)ロンドンに行くたびに観たくて観たくてたまらなかったのですが、結局観れず仕舞いで帰国してしまったので心残りに思っていたんです。
ですが、この秋に来日公演が決定。まさかアダム・クーパー主演、ロンドンキャストの公演が東京で観れるとは思いもしませんでした!来ると知った時は、今度こそ絶対観なきゃと思いましたね。
ということで、念願叶って観に行ってきました。

アダム・クーパーは、有名なダンサーですし、『ビリー・エリオット』も観ていましたが、そこまで詳しく知っている訳ではありませんでした。でもチャンスがあれば一度は生で彼のパフォーマンスを観てみたいと思っていたので、今回見ることができて本当にラッキー。
ダンスのことは詳しくはないので細かいことはわかりませんが、ダイナミックでしなやかな動きがとても美しかったです。そこは長年バレエをやってきた人だからなんでしょうね。

ミュージカルはやはり「歌」が一番のメインというイメージが強いですが、このSingin' in the Rainでは、「ダンス」がキャラクターやストーリーを物語っていると感じました。これはきっと、アダム・クーパーだからこそなのではと思います。もちろん、肝心の歌も文句なし。ソフトでのびやかな歌声が素敵でした。

このミュージカルの最大の見せ場であり特徴の、タイトルソングである「Singin' in the Rain」の水をバシャバシャしながら踊るシーン。
トン単位の水を使って、実際に舞台に雨を降らす演出が話題となりましたが・・・これは、あのミュージカルドラマ「Glee」からインスパイアされたのだとか。


私、Gleeがウェストエンド版のを参考にしたのだと思っていたので、ちょっとびっくりでした。でも考えてみたら、Gleeのシーズン2は2010年に放送されたので、ウェストエンドで公演される前でしたね。
このGlee版の、「Singin' in the Rain」とリアーナの「Umbrella」をマッシュアップしたパフォーマンスは、私も大好きで、当時初めてこのエピソードを見た時はカッコイイ!と圧倒されました。その後もGleeの中でもベスト3に入るパフォーマンスだと常々思っていたので、なんだか嬉しいです。
ちなみに、同じエピソード内でSingin' in the Rainが大好きなシュー先生(マシュー・モリソン)が、Make 'Em Laughもカバーしています

ミュージカル版でも、アダム・クーパーが楽しそうにバシャバシャ水を飛ばしながら、のびのびと歌い踊ってくれました。前の方の席の人がとてもうらやましかったです。
カーテンコールでは大人数でこのナンバーを踊るのですが、その際もキャストが思いっきり水を跳ね飛ばしながら踊っていて本当に楽しそうでした。

とってもハッピーになれるミュージカルでした。2年越しの思いが叶って大満足です。

23 November 2014

『アバウト・タイム』 - 感涙を流しつつ、UKの日常に浸る1本

先日友人に誘われて観てきた『アバウト・タイム~愛おしい時間について』。最初はよくあるロマコメ系かと思っていたのですが・・・映画館で観て良作に出逢ったとひさしぶりに感じた作品でした。

監督のリチャード・カーティスは、『ラブ・アクチュアリー』『ノッティングヒルの恋人』『フォー・ウェディング』などあまりに有名なUKラブコメを生み出してきた名脚本家。個人的にはこの3作品、嫌いではないけど世間が絶賛するほどのめりこまかったので、この映画も正直ちょっと甘すぎるかもと思っていました。
ですが、はっきり言ってこの映画はラブコメではないと思います。中心となるのは主人公ティムとその妻になるメアリのカップルですが、その2人を通して「人生」を問いかける、実直なヒューマンドラマです。実際、ティムのほぼ半生を観ることになるので、映画を観終わったあとは、何年も過ごしたようなほどよい重厚感がありました。
テーマはとってもストレートですが、そのアプローチの仕方はちょっと変わっています。というのも、主人公ティムは21歳を迎えると、父親から「うちの家系の男は全員タイムタラベルの能力がある」と告げられるから。SFの王道の「タイムトラベル」を設定に持ってきてしまうのが本当にユニーク。この設定が一体どうなって「家族愛」や「人生」を描く作品に活かされているのかは、ぜひ映画を観てみて下さい。

だいぶ前置きが長くなってしまいましたが、私はこの作品をちょっと違う視点から紹介したかったんです。
『ラブ・アクチュアリー』はUKの何気ない日常がぎゅっと詰まっている作品ですが、それは今作も同じ。画面からあふれ出る“The UK”な雰囲気に、(ストーリーとは関係なしに)始終にやにやしっぱなしでした。笑

まずは冒頭、ハウスパーティーのシーンがあるのですが流れている曲がとってもリアル。ハリウッド映画とかだと時代設定がない限り、最新のヒット・チューンを流すのが普通だと思いますが、ここでかかっていたのは、The Killersの「Mr. Brightside」。
 
この曲、イギリス人ほんっとに大好きです。笑 クラブや(特に学生の)パーティーでは9割方かかります。一晩で2~3回かかる時もあって、さすがにそれには驚きました。笑 実際この曲がかかるとみんな(特に男子)大合唱、クラブじゃなくてライブ会場にいるのかと思うくらい。以来私もこの曲を聴くと、留学中の色んなパーティーを思い出すのですが、このシーンでもなんだか懐かしくなりました。
ちなみにThe KillersはUSラスベガス出身のバンドですが、UKでこの「Mr.Brightside」が爆発的な人気になり、そこから世界に名が知れるようになっていきました。

それからこの映画で大好きなシーンがこれ。

ロンドン・チューブでのパフォーマンスは名物ですが、そのロンドンを象徴する「tube(地下鉄)」を通して人々の生活を切り取ることで、“UKらしさ”が溢れているとても可愛らしいシーンだと思いました。

俳優陣にも注目。ティム役の主演、ドーナル・グリーソン(Domhnall Gleeson)は聞いたことない名前だなと思っていたのですが、、彼、ハリー・ポッターでビル・ウィーズリーを演じていた人でした!(写真左)(ちなみに、『アバウト・タイム』を観ている時は、赤毛でひょろっとしてちょっと頼りなさげな感じがロンっぽくて、UKにはこうゆう男子がいっぱいいるんだなと思っていました。そうしたらまさかのイケメン長男役だったとは。笑)そして、ジョー・ライト監督の『アンナ・カレーニナ』ではコンスタンティン役でした(写真右)。役柄によって雰囲気ががらっと変わりますね。まさにカメレオン俳優です。今回のちょっとカッコ悪いけど素直なティム役はとてもキュートでした。
 
さらに、スター・ウォーズ エピソード7にキャスティングもされています。彼がどんな役を演じるのかとても気になりますね。それにしても、本当に最近英国の俳優陣は勢いがありますね~これからも楽しみです!

そしてティムの親友(兼悪友)役にとても見覚えのある人が。
Skins(UKの人気ティーンズドラマ)のAlo役だった、Will Merrick。

Skins出身者はイギリス系の映画では結構出ているのですが、ドラマが大好きだったので見かけるとすごく嬉しいですね。Skinsはすごくエモーショナルな作品で、出演していたティーン達の演技力も高かったので、それぞれ色んな作品に出てビックになっていってほしいなあと思います。

若手俳優が活躍する中、ビル・ナイが作品にもたらす安定感はさすがですね。主人公ティムの一風変わった、お茶目で包容力のある父親を演じているのですが、あんな父親素敵すぎます。この映画は、ティムと父親との親子ストーリーでもあるのですが、この2人の父と息子の関係性があたたかく、とても心に沁みました。

大切な人達と一緒に観て人生の意義を考えるのもよし、ロンドンやコーンウォールの風景を見ながらイギリスの日常生活に浸るのもよし、な一本です。

3 November 2014

Gogglebox - “テレビを見る人たちを観る”究極のリアリティーショー?

最近のUKのテレビ事情はさっぱりだったのですが、この間たまたま「Gogglebox」という番組を見て、こんな番組があるんだ!と、とにかくびっくりしてしまいました。
というのもこの番組、テレビを見ている一般人をひたすら映すというもの。UK各地の様々な家庭(ファミリー、親友同士、ゲイカップル、老夫婦・・・などなど)で、それぞれが好き勝手なことを言いながらテレビ番組を見ている様子がランダムに流れます。あるのは必要最低限のナレーションのみ。

最初に番組内容を知ったときは正直、これってアリ?って思いました。絶対おもしろくないと思ったのですが、見てみたら、これが絶妙に面白い。笑 クセになるというか、後からじわじわくるというか・・・くだらないと思いつつ、つい見てしまうあの感じです。

ちなみに私がこれを見たきっかけは、セレブリティスペシャルと題して、ノエル・ギャラガー、ケイト・モス、ナオミ・キャンベルの仲良し(笑)3人が、ロンドンのとある一室で自由にテレビを見る様子を、他の一般家庭の映像と一緒に流したもの。これがもう最高に面白かった。声を出して笑わずにはいられません。
英国のスーパースター達と一般家庭をまったく同じレベルで映し出していて、それに違和感を感じさせないところがすごい。完全なone of us感で、テレビを見る姿は誰も同じ、ということなんでしょう。

気になったので調べてみると、放送開始は2013年3月からですが、かなり人気番組のようで2014年11月現在すでにシリーズ4を放送中。2014年のBAFTA TV Award(英国アカデミーのテレビ賞)で賞を受賞するほど!こんな一見手抜き(笑)番組がここまで人気なんて、すごいというかなんというか。

これ、USのLaguna Beach/The Hillsに始まり、リアリティー・ショーものが世界的に人気になり、だいぶ下火になってきたとはいえ、まだくすぶっているような状況で、この番組はリアリティー・ショーの究極系というか、ここまで来たかという感じがしました。
これまでのリアリティーものは、本物っぽい作りものを見せて、半セレブの(作られた)日常を覗かせて親近感と憧れを助長させるのが主流でしたが、このGoggleboxは、テレビの前に鏡を置いて、「あなたはあなたを見ているんです」と言って開き直っている感じ。ここまでストーリー性皆無のテレビ番組は今までなかったのでは?しかもこれをウィークリーでやっているのがすごい。(とはいえ本当に好き勝手やっているのではなく、面白いところを絶妙にピックアップする編集のセンスを感じさせます。)

この斬新さでいつまで人気が持つのかは未知数ですが、そして毎週欠かさずみたい!とは思いませんが、テレビつけてやっていたらやっぱり見てしまうでしょうね。そんな不思議な魅力を持つGoggleboxに注目です。