
ですが、はっきり言ってこの映画はラブコメではないと思います。中心となるのは主人公ティムとその妻になるメアリのカップルですが、その2人を通して「人生」を問いかける、実直なヒューマンドラマです。実際、ティムのほぼ半生を観ることになるので、映画を観終わったあとは、何年も過ごしたようなほどよい重厚感がありました。
テーマはとってもストレートですが、そのアプローチの仕方はちょっと変わっています。というのも、主人公ティムは21歳を迎えると、父親から「うちの家系の男は全員タイムタラベルの能力がある」と告げられるから。SFの王道の「タイムトラベル」を設定に持ってきてしまうのが本当にユニーク。この設定が一体どうなって「家族愛」や「人生」を描く作品に活かされているのかは、ぜひ映画を観てみて下さい。
だいぶ前置きが長くなってしまいましたが、私はこの作品をちょっと違う視点から紹介したかったんです。
『ラブ・アクチュアリー』はUKの何気ない日常がぎゅっと詰まっている作品ですが、それは今作も同じ。画面からあふれ出る“The UK”な雰囲気に、(ストーリーとは関係なしに)始終にやにやしっぱなしでした。笑
まずは冒頭、ハウスパーティーのシーンがあるのですが流れている曲がとってもリアル。ハリウッド映画とかだと時代設定がない限り、最新のヒット・チューンを流すのが普通だと思いますが、ここでかかっていたのは、The Killersの「Mr. Brightside」。
この曲、イギリス人ほんっとに大好きです。笑 クラブや(特に学生の)パーティーでは9割方かかります。一晩で2~3回かかる時もあって、さすがにそれには驚きました。笑 実際この曲がかかるとみんな(特に男子)大合唱、クラブじゃなくてライブ会場にいるのかと思うくらい。以来私もこの曲を聴くと、留学中の色んなパーティーを思い出すのですが、このシーンでもなんだか懐かしくなりました。
ちなみにThe KillersはUSラスベガス出身のバンドですが、UKでこの「Mr.Brightside」が爆発的な人気になり、そこから世界に名が知れるようになっていきました。
それからこの映画で大好きなシーンがこれ。
ロンドン・チューブでのパフォーマンスは名物ですが、そのロンドンを象徴する「tube(地下鉄)」を通して人々の生活を切り取ることで、“UKらしさ”が溢れているとても可愛らしいシーンだと思いました。
俳優陣にも注目。ティム役の主演、ドーナル・グリーソン(Domhnall Gleeson)は聞いたことない名前だなと思っていたのですが、、彼、ハリー・ポッターでビル・ウィーズリーを演じていた人でした!(写真左)(ちなみに、『アバウト・タイム』を観ている時は、赤毛でひょろっとしてちょっと頼りなさげな感じがロンっぽくて、UKにはこうゆう男子がいっぱいいるんだなと思っていました。そうしたらまさかのイケメン長男役だったとは。笑)そして、ジョー・ライト監督の『アンナ・カレーニナ』ではコンスタンティン役でした(写真右)。役柄によって雰囲気ががらっと変わりますね。まさにカメレオン俳優です。今回のちょっとカッコ悪いけど素直なティム役はとてもキュートでした。


さらに、スター・ウォーズ エピソード7にキャスティングもされています。彼がどんな役を演じるのかとても気になりますね。それにしても、本当に最近英国の俳優陣は勢いがありますね~これからも楽しみです!
そしてティムの親友(兼悪友)役にとても見覚えのある人が。
Skins(UKの人気ティーンズドラマ)のAlo役だった、Will Merrick。

Skins出身者はイギリス系の映画では結構出ているのですが、ドラマが大好きだったので見かけるとすごく嬉しいですね。Skinsはすごくエモーショナルな作品で、出演していたティーン達の演技力も高かったので、それぞれ色んな作品に出てビックになっていってほしいなあと思います。
若手俳優が活躍する中、ビル・ナイが作品にもたらす安定感はさすがですね。主人公ティムの一風変わった、お茶目で包容力のある父親を演じているのですが、あんな父親素敵すぎます。この映画は、ティムと父親との親子ストーリーでもあるのですが、この2人の父と息子の関係性があたたかく、とても心に沁みました。
大切な人達と一緒に観て人生の意義を考えるのもよし、ロンドンやコーンウォールの風景を見ながらイギリスの日常生活に浸るのもよし、な一本です。
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